牧場バイト、やる気があって体力のある人、一週間報酬10万円
「な?すごいだろ?」
「一週間十万円!?なんか危ない仕事じゃないのか……!?」
「しーっ!声がでかい!」
「お前もでかいわっ」
友人の愛洲に応募したバイトの募集要項を見せたら、愛洲お得意のうっかりな大声で周りの注目を浴びる羽目になってしまった。やれやれ。
ザワザワとした大学の食堂が一瞬静まって、近くにいた人たちはこちらに目を向けていた。けれどもすぐに興味をなくしたように各々の会話に戻っていく。
「ウッシーこれは怪しいって、応募はやめたほうが…」
「もう応募しちゃった。牛好きだし!」
「え!?」
「なんなら受かった!」
「ええ!?」
「試験終わりすぐ一週間行ってくる!」
「えええ!?」
「ウルセェ!」
最後の一言は僕ではない。その一言と同時に愛洲の後ろに学内1と呼び声の高いイケメンの先輩が立っていた。
「グェエ……!」
先輩にヘッドロックをかまされてカエルのような声をあげたのは彼を見上げた愛洲だった。
「アイちゃんそんな元気有り余ってるなら俺とイイコトしようぜ」
ほおー、交友関係がそこまで広くない俺にまで回ってきたヤリチンだと噂の先輩だけあって、男への冗談でもすごい色気だ。
おいおい隣の女の子、鼻血出てんじゃん……。
「ひえぇぇウッシー助けてえぇぇ……」
「そんじゃ牛居くん、愛洲は借りてくから」
爽やかな笑顔の先輩は片腕に愛洲、片手に愛洲の昼ごはんの食べ終わったトレーを持って、出口の方に消えていった。
「愛洲はすごいなぁ……」
あのイケメンで目立つ先輩だけでなく、体育会や他校にまで友だちがいる。
充実した生活でうらやましい。俺だって、この牧場バイトで貯めたお金でパァッと旅行でも行くんだ!
……まあ、彼女いないけど。
テスト週間はすぐに終わって、やってまいりました!大牧牧場!
「わ〜ここですか〜」
「うんうん、これから一週間よろしくね」
牧場主の大牧さんの運転する軽トラックの助手席で揺られる事30分弱。
最寄駅から車での距離だからなかなかの距離だ。
草の匂いと……糞の匂い。ばあちゃんの田舎を思い出すなぁ。
「まず初めになんだけど、一応契約書にサインしてもらうね」
「は、はい!」
世の中の契約書のほとんどあそうであるように、大牧牧場の契約書も字が細かい。
俺は内容を読むふりをして、応接間のソファーで正面に座る大牧さんを盗み見た。
軽トラに乗ってる時の麦わら+白タオルではわからなかった。髪が長くてモサイけど、なかなかのイケメンだった。
見た感じだと20代後半くらいの年齢だ。
上背のあるガッチリした体型に、シンプルで動きやすい服装がなんとも似合っていて、男として軽く嫉妬してしまう。
俺は筋トレをしても筋肉がつかない。
背も低くて、女の子からは恋愛対象としてなかなか見られない。ちくしょう……。
「ん?なになに、終わった?」
「んぇっ!?あ、はいっ!」
やばい、びっくりした。不躾な視線に気がつかれたのだったら恥ずかしい。
「終わったら早速なんだけど、家の案内と牧場の方の案内行こうか」
「はい!」
「うんうん、いい返事」
「ますここがこれから寝泊まりしてもらうところ。持ってきた荷物は、ベッドの横にでも置いておいたらいいよ」
「ほぇ〜客室なのにすごい大きなベッドですね!」
部屋には大きなベッドがドカンとあって、整えられているけど、客室にしてはなんだか生活感のある部屋だなと思った。
「うんうん、主寝室だからね。じゃあ次は水回りの案内行こっか。あ、洗面具すぐ出せるなら持って行っとく?」
「え?あ、はい」
なんだか違和感があった気がしたけど、やることは沢山あったから、そこを深掘りすることなく荷物を開けた。
「家の案内終わったらツナギに着替えて仕事の説明するからね」
「はい!」
「じゃあ、牛沢くんにも搾乳作業手伝ってもらうね」
「はい!牛可愛いなぁ」
「はは、思った通りだな……」
「何か言いました?」
「いやいや、なんでもないよ。それじゃあ早速こっちで搾乳機械の説明から……」
「ふぅ」
午後の仕事を一通り終えて、大牧さんが振る舞ってくれる夕食を食べている時だった。
大牧さんのご両親については作業中に聞いていた。ぎっくり腰にも関わらず牛の世話をしようとして、また悪化するというサイクルを繰り返しているというお父さんの療養のため、お母さんが海外旅行という名の療養に連れ出しているそうな。
「お疲れ様〜初日はどうだった?」
「思ったよりずっと楽しかったです!特に仔牛の授乳が楽しくて!」
「それは良かった良かった。」
「家の方で何か手伝えることってあります?」
「あとは……あー、お風呂終わったらちょっと寝るの待ってて欲しいかな」
なんでわざわざお風呂上がり?と思ったけど、大牧さんはこれまでと変わらない優しい笑顔だったからはい、と返事をした。
あてがわれた客室……にしては広くてまるで昨日まで誰かが使っていたかのような生活感のある部屋だった。なので、風呂上がりに棚の中だったりは触らずに荷物整理をしている時だった。
ノックの音が聞こえて返事をすると、濡れた髪の毛もそのままに上半身裸で肩にタオルをかけた大牧さんがドアを開けて立っていた。
「あ……」
力仕事で自然と鍛えられるのか、それとも筋トレでもしているのか、高身長と相待って彼の均一の取れた筋肉に覆われた体はとても迫力があった。
自分や、愛洲の体とは違う雄っぽい肉体だった。その隆起するなだらかな筋肉を髪からしたたり落ちた雫が伝う。
その様がとてつもなく色っぽくて反応が遅れてしまった。
「ど、どうしたんですか?」
「あれ、契約内容に書かれてたの見てなかった?」
「え?」
「ほらここ」
大牧さんが目の前にここに来た時に見せてきたのと同じ書類を出して指差す。
ーー甲は乙の要求(性交渉含む)について同意する。
「親切めに性交渉って書いといたんだけど……」
「せせせ性交渉っ!?」
顔面から火を吹いているような感覚だった。
「うんうん」
もしかして、バイトにしては高額なこの条件はそういう行為含めてってことだったのか……?
「それは……ちょっと……」
「契約破棄ならお給料は今日の分しか出せないかな。そしたら明日の朝に帰ってもらうことになるんだけど……」
今日の分なんて半日分にしかならない。そんなんじゃ俺の楽しい夏休み計画は台無しになってしまう。
「どうする?牛居くんが決めていいんだからね」
「あ……」
いつの間にかそばに寄っていた大牧さんが俺に腕を回してくる。
抱き寄せられたらあつい胸板とすべすべな肌が頬に触れて気持ちがいい。
不思議だ。石鹸の匂いがなんだか全部どうでもいいような気分にさせられる。
「えっと……」
抵抗しない俺に、彼はさらに腕の力を強める。
女体への憧れとか、脱・童貞の夢とか、自分の中にあったものが溶けていく。
性自認なんて疑ったこともなかったのに、雌な自分が顔を出す。
「わっ」
その瞬間軽々と体が持ち上げられて、ベッドに優しく横たえられる。
不覚にも逞しい腕にキュンとしてしまった。
「拒否してくれても構わない。けど、もし今、ちょっとでも身を委ねていいって気があるなら足を開いて。牛居くんの悪いようにはしないから」
優しげだけど有無を言わさない壮絶な色気を感じる男にベッドの上で迫られて、拒否できる人間はどれだけいるのか。
ましてや色恋偏差値30の俺なんて。
目線を落とすと俺の薄い胸板と彼の厚い胸板の間で、俺の足がゆるゆると開かれていった。
「あはは、いいこいいこ」
大牧さんのしっとり濡れた頭が下に降りていく。
高い鼻と伏せられた長いまつ毛が俺の着ているTシャツ越しに腹をくすぐる。
今までに感んじたことのない性的な雰囲気に僕の股間が反応し始めた。
こ、これは誤作動だ。
「あ……」
さらに追い討ちをかけるように腰骨のあたりを大きな手が撫で回す。
「腰骨浮いてる……細いね」
「っ……一人暮らしで……っ痩せちゃって……」
恥ずかしくて見ていられなくて腕で顔を隠す。
けれど、熱くて湿った息が下生えに触れて思わずそちらを見てしまう。
「え……うそ……」
履いていたスウェットごとパンツを脱がされて、大牧さんの唇が俺のチンコに触れる。
「ひ……ひぇ……あっ……やばぁ……」
ふにふにと半勃ちの俺のモノをはんでいた唇がパクリとその先端を口内に迎え入れられた。
クプクプと音を立てながら舐められ吸われ咥えこまれて、経験値の低い俺はすぐにギンギンになった。
「あっあっなにこれぇっ……!」
ジュボボッという下品な音を立てて根本まで咥えられる。
思わずのけぞって、足の先まで力が入ってしまう。
「ひんっ……ぁ待って……!でそ、あひっ……!」
「ん、ちゅ、いいよ俺の口でいって……」
舌先で先端を舐められながら手で竿を擦られる。
「あっひっあぁ……!」
「ん……、いっぱい出たね」
口の周りに俺が出してしまった精液を滴らせながら不敵に笑う大牧さんはとてつもない色気だった。
「はぁ……はぁ……」
「さ、次はこっちだね」
「ひゃっ……!?」
膝の裏を抱えられて、なんとも情けのない姿になってしまう。
「ひっうそ……!そんなとこ……!」
尻の穴に湿った感触を感じる。
「大丈夫大丈夫、気持ちよくなるだけだからね」
「ひぅあ……!」
俺の出したものと大牧さんの唾液との滑りで入口を丹念に拡げられる。中に指が入って縦横無尽に思える動きで浅いところをほじくる。
「ぁ……ひあっ!なにっそこっ!」
「ああ、うんうん、ここだね」
覚えたよ、そう言ってからはそこばかり執拗に責められて声が抑えられない。
「あっあぁっそこっだめですっ!変!なる……!」
「だめとか変、じゃなくて、きもちいい、だよ」
ほら、とまたそこばかりグリグリされる。
さらに、彼は尻をいじっているのとは別の手で、チンコへの刺激が開始された。
「あああっ!だめっ!また出ちゃうからっ!待ってっ!」
「うんうん、いくらでもイッていいし、どれだけ叫んでもいいよ。ほら、きもちいいって」
「あっあっきもっ、きもちいっ!いくっまた!あっ!出ちゃうぅううっ!」
先ほどよりもサラサラとした液体が噴出する。
いつの間にか腰の下にクッションが置かれていた。
高い位置で固定された腰のせいで、その噴き出た精液とも塩ともつかない何かが俺の顔面にかかってしまった。
「はっ……はぁ……はぁ……」
「すごいね、セルフ顔射ってやつだ。そんなに気持ち良かった?」
「は……ふ……はぁ……」
「あはは、意識飛びかけてるね。俺の方がまだこれからなんだけど……」
虚な目に飛び込んできたのはボロンと出された大牧さんのチンコだった。
いかにも使い込まれた感じの色と形のモノが、バキバキに血管を浮かせて腹につくほど勃起している。
断言する。絶対に無理だ。
俺は尻でする予定はこれまでもこれからもない。
そんな俺の慎ましやかな尻にあんな凶悪なぶつは役者不足なので辞退申し上げる。
「無理……っ」
「大丈夫大丈夫無理はさせないから……っと」
軽々と体をひっ繰り返されて、あっという間にうつ伏せの状態で、尻だけ高く上げられた状態にさせられる。
すぐに湿った感触を尻の割れ目に感じる。
「あ、だめ……っ」
「怖いことはしないから」
その言葉と同時に尻と太ももの付け根の窄まりにそれが入り込んでくる。
ゆるゆると動かされる大牧さんのチンコが俺のチンコと尻の穴の間の敏感な部分を刺激する。
体重をかけて腰を使われるから、クッションに俺のチンコも擦り付けることになる。
俺はもうシーツを掴んで頭を振りまくって喘ぐことしかできなかった。
「はぁ……はっ、牛居くん、きもちいっ?」
「あっひゃぁうあっあっきもちっ、きもちいですっ……!」
「俺も、もう、いきそう……」
またグルンと体をひっくり返されて、チンコ同士をピッタリとくっつけられて、大牧さんのゴツゴツして大きい手が二本まとめて抜きあげる。
「あっあっもう、俺、なんも出ないっ……!」
「いける、いける、一緒に、いこ」
上ずって掠れた声で囁かれる。そんな聴覚的な刺激ですら昂ってしまう。
「あっ、あぁもう、気持ちすぎてっくるしぃっ!」
「俺も、気持ちいいよ」
チンコを重ねたまま腰を振りたくられて、勢い余ってというふうに唇を重ねられる。
「んっ、ふっ、んぁぁぁああ!」
「ふ、ちゅ、……っく、」
二つのそれが脈打ってほとばしったのはほぼ同時だった。
「はあ……はあ……」
もう3回も絶頂まで達して、全身が甘い倦怠感に包まれていた。
大きなベッドの上に体を投げ出して、荒い息をやり過ごしていたら、自分の腹と下半身で少しひんやりとした感触がした。
目をやると、どこから取り出したのかウェットティッシュで俺や彼が出したものを拭っていた。
一通り終えた彼は自分と俺の服を整えた後、あろうことか俺の横に倒れ込んできた。
「ちなみに、ここ俺の部屋だから」
「……ええ!?」
肘をついた手で頭を支えてこちらを見ていた。少し汗ばんだ顔に張り付く長めの髪がとてつもなく色っぽい。
昼は少し不精な印象を受けた長い髪は、男らしく整って高い鼻筋と彫りの深い目元を彩る額縁に今は思えた。
そんな人にこんな至近距離でとろけるみたいな笑顔を向けられて、ドキドキしない方がおかしいんじゃないかと思う。
「改めて、今日からよろしくね」
「ふぁ、はい……」
顔が熱い。大牧さんに背を向けて、背中を丸めた。
背中に別の体温と、小刻みに震える息を感じる。……笑われてる。
俺は、お金のためにこうしてるんだ、決して男の人相手にときめいてるわけではない。
悶々としながら必死に眠ろうとしたけど、ナチュラルに抱き込まれてそれどころじゃなかった。
ーーお金は欲しい、だけどお尻は死守する。
決意を新たにして、眠りに……つけなかった……。
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