苦心していたアプリの開発がうまくいき、その収入がかなり入った。
浮かれて彼氏を海外旅行に誘おうと思って家に遊びに行ったら、その彼氏が浮気してた。しかも女と。
ゲイだと思ってた幼なじみの元カレが俺に秘密で結婚してて、問答無用で別れてやったわって、茶化して言いながら涙が止まらない俺を「俺ならそんなことしない」って抱きしめたのに。全部嘘だったんだなあ。
一緒にやっていた事業もほっぽって、俺がアプリのリリース直後で修正やらなんやらでてんやわんやだった間に女とよろしくやってたわけだ。
事業の売却も恋人との別れも、根回しと思い切りが大切。
今住んでいる家を1日で開け、2日目で引き渡した。ミニマリズムを取り入れていてよかった。退去費用は割高になってしまったが必要経費だ。
俺を裏切った彼氏とこのままずるずると関係を続けて時間を浪費するより、ずっとコスパがいい。
元カレは小中高の幼なじみだったから、別れるにあってその頃の交友関係は精算したから連絡を密に取る友達もいない。大学以降の交友関係も一緒に学生起業した彼氏ーーいや元カレその2が絡む。
もう全部嫌になって誰にも何も言わずにパスポートとボストンバック一つで日本を飛び立った。
降り立ったのは常夏の国だった。まだリゾート開発はしたてで物価も安く観光客も少なめだ。
何より空と海が美しい。
俺はプライベートビーチのあるホテルで身も心も癒されるんだ……!
ということで、やってきたのは知人のおすすめで知った高級ホテルだ。
チェックインを済ませて部屋に荷物を置く。どでかいベッドに南国らしい赤い花が散りばめられている。ちくしょう。
花は寝具にくるんで部屋の外に出し、ウェルカムドリンクのシャンパンを2杯一気飲みして部屋を出た。
そういえばエステがおすすめだと言っていたな。
俺は適当なスタッフに簡単な英語でエステの場所を尋ねて下の階にあるエステに向かった。
「Welcome,sir. how can I help you?」
笑顔で出迎えてくれたのは南国らしく日に焼けた美女だった。
とことん楽しむぞ。元はと言えば俺はゲイじゃ無い。いや、男としか経験はないんだけど、女の子は可愛い。うん。ほてった顔が緩む。
「Our salon offers these treatments. Which one would you like to choose?」
「んー……ディスワンプリーズ」
適当に値段が一番上のプランを指差す。
お姉さんはニコッと笑って中に案内してくれた。
お香なのかアロマオイルなのか、サロンの中は独特の良い匂いがする。白い花でこんな匂いのものがあった気がする。
ホテルの内装も大理石がふんだんに使われた豪華なものだったが、サロン内もすごい。
俺が案内されたのは海が見える個室だった。
20畳ほどの広々とした空間に、大きなバスタブとマッサージ用のベッドが置いてある。
さすがは一番高いプランだけあって贅沢な作りだ。
案内の可愛いお姉さんは俺にマッサージ用の服に着替えるように言って部屋で待つようにと言われた。
「服っていうか……Tバック……?」
エステが初めてだからよく分からないがこんなの履くのか。何事も経験だなあなんて思いながら着替える。服は用意されたカゴの中に入れておいて、施術台に座る。俺はボーッと海を眺めた。遠くから聞こえる潮騒は頭を空っぽにしてくれた。
「Excuse me」
「……ん?」
案内してくれた女の子よりも肌の色の薄い、シナモン色の美丈夫だった。豊かな黒髪と白い歯が美しい。背も高くて簡素なユニフォームでもわかるくらいたくましい身体付きをしている。
……女の子よりも男にときめくようになるなんてなあ。
「where does it hurt?」
「え……?」
頬を示されて手をやると、湿っていた。
「あーこれは……。俺ここには傷心旅行で来たんだよね……って言ってもわかんねーよな、はは。ナッシン」
微笑みながらタオルを差し出される。
ありがたく受け取って、誘導されるがままに施術代にうつ伏せに横たわる。
顔の部分はちょうど穴になっていて息苦しくない。下には水が張られた陶器の器に花が浮かんでいる。よだれ垂らして寝ても恥ずかしくないよってことかな。
「Can I start from your leg massage?」
「オーケー」
飛行機の移動やなんだで旅行は足が疲れる。美丈夫は足の指からオイルに濡れたてでほぐしてくれた。
足の裏、くるぶしなんかも男らしく太い指がツボを押しリンパを流す。その手はだんだん上に上がりふくらはぎや膝裏も丁寧にもまれる。
「きもちー……」
オイルを注ぎ足されながら手が太ももとその付け根を行き来する。
「あー……このまま尻の中までぐちょぐちょいされてーな……」
遠くに聞こえる波の音と体を這う手が気持ち良くて、俺はうつらうつらと船を漕いでいた。だてによだれ対策取られるだけあるなーー
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「……あっ……ん、……あぁ……」
誰だよ部屋でAV観てんの。
エロい声とニチャニチャというイヤラしい音が聞こえる。
あれ?なんか全身濡れてない?
覚醒し始めて気づく。
「え……あ……なにこれ……」
目の前には水に浮かんだ花と、尻穴にはぬぽぬぽと何かが出入りする感触。
「夢かぁ……」
すっかり男に慣れきっちまって夢に見るくらいになったんだなぁ。
「ならもっとぶっといのずぽずぽされてー」
浮かんできちまう奴らの顔を消してほしい。
ホントは、あいつも、その前の奴も、会えば許しちまうってわかってたから会わずに別れた。
俺の人生からすっぱり追い出すには合わずに縁を切るのが一番だと思って、会って許してしまいたいと叫ぶ心は無視して動いてきた。でもいくら理性で動いても忘れるまで辛いもんは辛い。
いや、忘れることなんてできないのかもしれない。恋人だった幼なじみが結婚した事も、結局今思い出しても涙腺を刺激してくる。
「ふ……う……」
ポタポタと花の上に涙が落ちる。
「……めちゃくちゃにしてほしい」
これが夢か現実かなんてどうでも良い。
顔を突っ込んでた施術台の穴から顔を出して振り返る。
俺の尻をいじっていた褐色肌の美丈夫と目が合う。微笑む顔には余裕をかんじるけど、その目に熱がこもってるのを見逃さなかった。
尻を浮かせて、両手で尻の肉を左右に開く。
「ふぁっく、みー……ーーっあぁ!」
どっしりとした施術台は男っ二人分の体重も難なく受け止める。
尻に感じた質量は予想したよりも大きかった。
俺の慣れた穴はオイルの滑りを借りてその大きなものも飲み込んでいった。
「ぎみ……もあはーだー」
「……っ!」
自分から尻を振って次をねだる。すぐに望むものは与えられた。
体格に見合った大きな手にがっしりと腰を掴まれる。
「あっあ、っあぁあん、うああ、ぁあ!」
異邦人ペニスでガシガシ中を擦られる。反り立ったぶっといそれは良いところも全部まとめて蹂躙して行った。
「ああ!あっあっあっ、んぁあいいっ、もあっもあーっ!」
うつ伏せなのはそのままに、上半身を倒してのしかかられて腰をふられる。いわゆる寝バックの体位だった。
ペニスは寝台に押し付けられて擦れ、尻の中は前立腺あたりを突きまくられ、身もふたもなく喘ぎまくった。
「あっああーっああんあああぁぁ!でる!でちゃぅぅぅううああぁ!!」
彼の動きは止まらない。イッた感覚がずっと続いてた。
「あああぁぁああっあああっあぁぁぅぁあっ!」
身体をしならせて痙攣する俺はつながったまま持ち上げられて、彼の熱い胸板にもたれかからせられた。
「……あ、……はぁ、」
激しい動きは止まったけれど、快感の余韻をやり過ごせない。
息絶え絶えな俺のペニスに彼の大きな手が2本添えられる。一方は竿、もう一方は先を撫でるように添えられたのを朦朧とする意識で感じた。
止まったまま動かされないので、不思議に思って上を見上げる。
先ほどよりも上気し、汗で髪が頬に張り付いたなんとも色っぽい彼と目が合い微笑まれた。
「……えっ、ーーあああっあぁぁぁっ!!」
小刻みで凄まじく速い動きで敏感な部分を擦られる。イッたばかりで敏感なペニスを攻め立てられた俺にまた、絶頂の感覚が押しよせる。
「ああぅあっでるまたイっちゃうぅぅぅっ!!」
プシャーッと、精液よりもサラサラした液体が飛び散る。
「ぅ、あ、はぁ、はぁ……なにこれ、すご……」
「潮吹きですね」
「ーーえ?」
熱に浮かされていたのが嘘みたいに引いていく。
今、日本語が聞こえた気がするんだけど。
驚いて彼を見上げると先ほどまでと同様、余裕の笑み。
「実は日本人とのミックスでして、14から大学卒業までは日本で過ごしまいした」
「嘘だろ……」
俺、いろいろやばいこと口走っちまった記憶が……。
気が遠くなり遠い目をしていると、軽々と体を抱えられた。
それから海の見えるバルコニーの手すりで一発、備え付けの花の浮かぶ風呂で一発。
ついには足腰の立たなくなった俺を部屋まで抱えて行き、そこでもまた何度も何度も……。
一度目の失恋では地元を捨てた。
……二度目の失恋で国を捨てるのもありかもしれない。
なんて薄れていく意識の中考えた。
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